「『ひなた』について、」製作・運営委員会 2010-2019 

CRITICISMS 論攷

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「SOD女子社員 第13回  王様ゲームで拒みきれずに大乱交!」

SDMS657 2009/02/05

■入社1年目 商品部 佐藤香織

「社内で噂の『可愛いくせに今まで隠れるように出演をかわし続けた超真面目な激ウブ女子社員』を落す!!」(本作パッケージコピーより)

「SOD社員」シリーズはSODクリエイトレーベルの企画作品であり、同社の女子社員にスポットを当て、「採用試験」「社員旅行」「忘年会」等、様々な社員参加イベントをバラエティ色濃くアレンジ、その経緯をドキュメンタリー風に追う形で構成されるものである。多くの派生作品を持つ同レーベルの看板タイトルであり、その喧騒ぶりは嘗て乱立されたテレビの深夜番組をも彷彿とさせる。2003年より継続する息の長いシリーズであるが、当初は寡少な扱いだった「SOD女子社員」表記も翌年には表パッケージコピーに掲げられ、同年中に複数の社員出演作が制作されている。
出演女優は、写真付社員証を首に掛けてSOD社員に扮し、登場時には所属部署や入社年数がテロップにより紹介される。作品中で女優が全裸になってもこの社員証だけは首から外さない、というのもシリーズの定番的なスタイルである。社員シリーズの中には一人の女優に焦点を当てた単体作品も存在するが、その多くは複数の女優を登場させ、ゲーム性を織り交ぜた乱交モノである。
「王様ゲーム」も2004年スタートのシリーズ企画であり、「日頃お世話になっているユーザー様を招いて楽しんでいただく」という主意から、公募で募った一般ファンをSOD女子社員が迎えるという図式となっている。

「ユーザー様」はメーカーBBS等を見る限り実際に公募も行われており、そこには出演を果たした一般視聴者と思われる書き込みも見られるが、出演ユーザーが全て素人と云う訳ではなく、男性陣の幾人かは明らかに男優が扮している。
場を取り仕切るのはAV女優でもあるミュウ氏。シリーズの常連司会者であり、彼女の歯切れ良く奔放な物言いは場を盛り上げるのに不可欠な要素となっている。本作で見せる各女優との掛け合いも軽快で小気味良いものである。

本作は社内屈指の超真面目女子社員5人を厳選し、AV一般視聴者との「ヒアリング会」と称する意見交換会を実施、この交換会自体がダミーであり、強引に「王様ゲーム」に持ち込んで内情を知らぬ女子社員を性的に陥落させようという筋書である。途中、一向に盛り上がらない宴席の様子に業を煮やした企画者が、仕掛人側の制作部女子社員を煽動要員としてゲーム参加させる、といった逸話の挿入もあり、総勢8名の社員が王様ゲームに挑むこととなる。
ひなたは「入社1年目 商品部・佐藤香織」として登場、珍しいOL役であり、髪を巻き化粧もして大人っぽく装っている。「堅物の女子社員」という設定故か、5人全員が眼鏡着用で各人が個性的とは云い難い中、OLに扮しながらも只一人幼く見え、快活で笑顔を絶やさない彼女はMCのミュウ氏に揶揄われる格好の標的となり、本作序盤に於いては登場女優中ひときわ目立つ存在となっている。ユーザーとのやりとりに於いても常に朗らかで、単体出演作と違い出演時間は短く克つ寸断されるものの、彼女の魅力を充分に堪能出来る作品となっている。

ユーザーとのヒアリング会の模様はダイジェスト映像とテロップ表示で短く描かれ、司会担当ミュウの一声により座は唐突に「王様ゲーム」へと突入してゆく。

「王様ゲーム」とは飲み会等の席上、場を盛り上げるために行われる余興の一種で、参加者数分のクジを用意、1本の王様クジ以外は番号クジであり、王様クジを引いた者が任意の番号を指定しながら命令、該当番号を引いている者がそれに否応無く従うという段取りで進行していく。AV故「王様」からの命令は開始早々からセクシャルな内容含みのものとなる。

編集による省略、或いはテンポを考慮した意図的な演出か「王様ゲーム」に入るや否や男性陣は一気に増長する。半ば強制的な脱衣要求、あからさまな身体への接触。開始早々のこれら過激な命令に対して女子社員はさしたる拒絶もせずに応じてしまう為、プロローグに於いて構築された「堅物社員」というキャラクター設定は早くも破綻してしまう。ここで本作の独自性は失われ、「王様ゲーム」他作と差違の薄いものとなってゆく。
この手の有名無実な皮相的設定はAVでは珍しい事ではないが、本作の収録時間は220分と長尺であり、上述コピーの「超真面目な激ウブ女子社員」故の振舞い、彼女らが場の雰囲気に触発され、段階的に弛緩してゆく過程の詳密描写を期待する視聴者からすれば、少なからず違和感を覚える部分であろう。本編開始後15分程は男性参加者のオーディション風景に費やされるが、やや冗長であるうえ、同社が性具メーカーと提携販売する自慰補助具の販促を意図としたと思われるシーンが登場するに至っては鼻白まざるを得ない。

「SOD社員」シリーズでは、同じ役柄設定で出演女優が別作品に再登場することも稀ではない。 本作からも「制作部:鈴木ちさ」役の鈴木千里を始め、「デザイン部 :白井久美」役の白川るり、「制作部:綾瀬優香」役の綾那優らが同名で社員シリーズ他作への再出演を果たしているが、ひなたは本作一本のみの出演となった。希少なOL役であり、本作での彼女の明るいキャラクターも極めて愛々しいものであった為、「商品部 佐藤香織」の再見が叶わなかったのは残念である。

本作のような「社内行事」名目の作品では、実際に中野にあるソフト・オン・デマンド本社社屋内での撮影が通例のようだ。日常業務が行われる社屋で、業務時間外にせよAVの撮影が行われているというのは意外であり、当初は撮影用スタジオを社屋に見立て、商品や女優のポスター・POP等のディスプレイにより「AV制作会社」を演出しているものと推察した。ところが「SOD社員」作品出演経験のある男優のブログに社屋撮影を示唆するコメントがあり、加えてweb上で検索を試みると、2005年同本社に於いて催された、かつての同社代表・高橋がなり氏のブログオフ会記事が見つかり、本作の会場となった会議室での講演写真が掲載されていたことから社屋ロケの実状が裏打ちされることとなった。
シリーズ他作品に本作の会場に充てられた部屋が幾度も登場しており、社屋での撮影は慣例化されていることが判る。本作には登場しないが実務フロアで撮られた作品では、社員(エキストラであろうか)がデスクワークする傍らで全裸の女優が過激な艶技を披露している。