「『ひなた』について、」製作・運営委員会 2010-2019 

「青春18きっす 水野ひなた」 平成ムスメの自宅に押しかけ顔射 −ぬるぬる指圧勉強会で専門学生をダマしハメ!

DY0901 2008/11/21

CRITICISMS 論攷

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■詭計される邂逅

本作は月刊アダルト誌「DVDヨロシク!」(三和出版刊)に収載された、ひなたの雑誌媒体に於ける映像作品である。カラーグラビアに加え、DVD封入付録という体裁からなる本誌の核心は、雑誌本体よりむしろ「付録」のDVDディスクに置かれており、これは書籍の体裁を取りながら映像特典を包含する、同一形式の他誌にも共通する定型フォーマットである。制作側の編集ポリシーは、DVDディスク内包を強くアドバタイズメントした表紙、そこにひときわ大きく謳われた収録映像の要旨言及によって概ね自明であろう。
DVDには、グラビア頁と並行して撮影された映像作品が各モデルごとに収録されるため、誌面は専ら収録動画の副次的なガイダンスとしての役割へと零落する。本来根幹であるべき雑誌本体は、収録作品の設定やストーリーの経緯・顛末を写真に添え記した解説冊子に転じ、肝心の写真もDVD映像から採取したキャプチャ画像が大半を占める為、付録DVD視聴後は新味を欠いてグラビアとしての独自性をも損なうものだ。登場モデルの数、頁数共に一般的な雑誌レベルのボリュームを供えながら、誌面のみではグラビア誌としていささか飽き足りないものである。

本作を包有する「DVDヨロシク!」付録DVDは、複数作品収録のオムニバス体裁を成し、各作品が異なる構成や物語性を保持している点で、付録映像にありがちな掲載グラビアの撮影に随伴したメイキング映像や、AVメーカー提供による予告編集といった安易な内容とは一線を画す。

DVD二枚組であることから密度的にも一般的なセル企画作品に比肩し、内包するオムニバス作品それぞれの尺こそ小編であるものの質的に遜色ないものである。本作中の媾合場面で肝心な女優の顔がフレームから見切れるカメラワークの不備、画質的な疵瑕なども見られるが、それはセル作品に於いても同様であり「ハメ撮り作品」としての一定の水準は満たしているといえる。
ただし一瞥して明らかな難点を挙げれば、セルAV作品にはありえない、雑誌付録DVDの常套とされるピクセルの粗い巨大なモザイク処理があろう。それは「局部を包隠する」という本来的な目的を大きく逸脱して過剰であり、加えて男優の面貌を覆うモザイクとの混在が随所にみられるため、シーンによっては画面の三分の一程がモザイクに占拠されて、映像中で行われている事象の描線すら損なうレヴェルに到達し、極めて見苦しいものである。

「青春18きっす」は、同誌の連載企画であり、キャッチコピーに「平成ムスメの自宅に押しかけ顔射」とあるように、企画の端緒は登場女性の自室(とされた場所)を訪ねて媾合行為に及ぶものであったろう。シリーズ作品の幾つかは有料動画サイトで閲覧可能であり、作品内容は導入部での状況描写こそ異なるものの、シリーズを通じ概ね相似したものであることが判る。屋外で待ち合わせ~自室訪問、もしくはホテルの一室へ、というナンパ作品にありがちな定例的フォーマットである。

「水野ひなた」編では後者の形を採り、腰痛持ちの仕掛人がコミュニティサイト上で「共通の趣味であるマッサージを通じた情報交換」と偽った奸計を巡らし、「勉強会」と称して、ひなた演じる専門学校生を誘き出したうえ性感療法で隷従させるというストーリーとなる。

序盤部で仕掛人の計謀が示された後、コミュニティサイト上での呼びかけに応じたひなたが、カフェで男と待合わせするシーンが設けられ、ストーリーの佳境へ向け進行してゆく。カフェでの二人の遣り取りは、主点を示したテロップと映像の早廻しで大きく要略され、場面は日を経ての再会(とした設定)となる「マッサージ勉強会」の場となるホテルの一室へと移行する。

AVのロケ地として都心の高層ホテルを択む事例は多々見られ、DVD作品やアダルトサイトで、眺望に富む客室を舞台としたシーンに遭逢することは稀ではない。
それらの作品にあって高層階の屋外を見渡す窓際に女優を立たせて開始される、半ば慣例的ともいえる背面立位に及んでの情交シークエンスは、近隣ビルからの窃視を仄めかすことで、女優の含羞や焦慮を誘引せんがために採択される嗜虐的な様態である。本作でも彼女は同様の姿勢へと導かれ、衆人環視を想起させて羞恥を煽ろうとする男優の執拗なささやきを蒙ることになる。ホテル内で展開する一連の情交シーンは室内窓から注ぐ光彩に満ち、その柔らかな自然光が露わにされた彼女の肌膚に繊細な陰影を刻んでゆく。

 

サブタイトルに「ダマしハメ」とはあるものの、企ては早々に達成されてしまい、男の底意発覚に起因する抵抗や拒絶、行為の強制や脅しといった描写は無く、始終穏やかな中での籠絡となる。こうした男女双方の同調的な空気は「青春18きっす」シリーズ一貫した展開であり、同衾シーンの開始時点でそれまで構築された序盤の設定は霧消し、女優に対する細かな演出指導は排しているとも推し量れる。
以降はごく普通の睦まじい情交描写が展開されるが、「密室に二人きり」を訝ることなく同意、というシチュエーションであるならば、これは筋立て的にも寧ろ自然であり、ひなたはマッサージ序盤での腰部接触や、仕掛人からの脱衣要請にごくささやかな逡巡と抗いを見せるのみで、間もなくして胸や恥部への摩撫さえも温順に受け入れる。
一方で演出の有無は図りかねるが、序盤から一定していた彼女の敬語遣いが中盤以降変調し、次第に懇ろとなってゆくさまが心身懐柔に起因するかように表されリアルである。

作品は収録時間の制約に依るものからか、序盤から各シークエンスは短めに割られ、事の経緯を男優の独白形式のテロップを交えて軽快なテンポで進行する。本編中で度重なるカット繋ぎがごく短い断片の連続であるうえ、時間乖離や空間転移に多用されるディゾルヴで行われることもあり、長編の要所を摘んだダイジェスト版的な印象が漂うものになっている。

実際に繋がれたシーンの前後で着衣の変化や室内での位置移動が繰り返されることから、撮影素材から多くの尺が削除されたであろうことは疑いなく、誌面グラビアには同時撮影のスチルと共に、映像と同アングルでありながら動画本編には未収録部のキャプチャ画像も散見出来るので、映像作品を紡ぐうえで回避出来ない点であるが、一般セルDVDでは窺い知れない編集で破棄された消失ストックフッテージの存在を垣間みることができる。